大学受験では、最も配点が高く、また文系・理系を問わず出題されるのが英語である。
英語の基礎を固める学習法について書いてみたい。
最新の学習法の知見に基づいた方法論である。
【野生馬式:大学受験の勉強のやり方講座 受験英語の基礎】と日本の英語教育の現状
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| 日本人は膨大な時間を英語に費やしている。しかし、成果が非常に低い・・・。 |
日本人は、英語を長い時間学習している。
日本人ほど学校で英語に力を入れてきている国はない。
にもかかわらず、日本人ほど英語が苦手な民族はいない。
理由はいろいろあるだろう。
しかし、最大の原因は、学校教育が方法論を間違っているからである。
どうして高校の英語教育では英語ができるようにならない?
大学受験のことを考えた場合、地方の公立高校の授業だけで共通テストの英語を突破することはかなり難しい。
なぜなのだろうか。
多くの地方の高校は、英語については教える基準がほぼない状況だからである。
どういうことかというと、ただダラダラとリーダーの英文を解説していくだけ。
文法についてはいちおう授業はあるとしても、最後の方まで終わらないことも多い。
だいたい、近年では文法はないがしろにされてきていて、慣れと耳とセンスでまる覚えすればいい、というような状況にあると県内の進学校で英語の教鞭をとっていた幼馴染が嘆いていた。
「バイリンガル式に耳で覚えればいい」などという、いいかげんな風潮もある。
要するに、文法なんてわからなくても、だいたいの意味がわかって、会話の中で使える言い回しがあればそれでいいというのだ。
あとは英単語をたくさん覚えていけばいい、と。
ちょっと待ってくれ。
ホントにそれで英語が使いこなせるようになるのか?なるはずはない。
ましてや、大学受験など絶望的である。
なぜかといえば、言語というものは文法という「約束」があるから意思の疎通ができる。
「約束」をろくに知らないものは、言語を使いこなすことなどできない。
ましてや、大学受験の場合、英語の基準は文法である。
英文和訳の問題があったとして、採点の基準は文法との照合で正しく和訳ができているか?である。
上記のような、高校の方針だとすると、法則なしで英語を永遠に丸暗記しなさい、と言っているのと同じなのだ。
だが、残念ながらこれは私が高校生の時もそうであった。
高校の英語教師たちの言い分は、極論として言うと「リーダーの英文をすべて丸暗記しなさい」という不毛な暗記論に撞着する。
暗記が不要とは言わない。
だが文法という法則が理解できているならば、応用がいくらでもできるから、本来は丸暗記は最小で済むし、最短で英語を使いこなせるようにもなる。
文法を一通り理解することが、幼児期を過ぎてからの言語習得では必須なのだ。
バイリンガルとはどういうことか
バイリンガル式教育などというたわけたことが叫ばれている。
が、そういうことをいうやつはバイリンガルが「何者」であるかを理解していない場合が多い。
私の娘はバイリンガルである。
正確に言うと、日本語、中国語、台湾語を話すマルチリンガルである。
バイリンガルというのは、幼少期の2歳3歳くらいがすべてだ。
人間は2歳から6歳くらいまで、脳の発達と合わせて周囲の人間の会話をまるで空気を吸収するように取り込んでしまう時期がある。
別に文法を習うまでもなく、脳内に言語の体系がインストールされる時期が人間にはあって、この時期には複数の言語であっても軽々とインストールすることができる。
しかしだいたいこれは視神経の成長が止まる時期、つまり6歳くらいまでである。
そこから先は、こういう空気から言語体系がインストールされるような現象は起こらなくなる。
したがって、バイリンガル教育は高校生には無理だ。
文法を勉強していくのでなければ、言語習得はできないし、また大学受験にも対応できない。
だが、バイリンガルにはなれなくても、言語が「音」であることは言語学習には生かせる!
言語は「音」である!
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| 言語は元来「音」である。このことを生かした学習法が重要である! |
娘がバイリンガル(いや、マルチリンガル)として成長する姿を目の当たりにして、私は一つ気づいたことがある。
娘は、すべて「音」を吸収してバイリンガルになっていった。
考えてみると言語は、そもそもが「音」である。
「音」の体系を言語というのだ、ということを私は娘と接していて初めて理解した。
学校教育の英語がなかなか実際に使えない理由の一つとしては、日本では英語を「文字」すなわち「視覚」として捉えているからではないのか?という疑念が頭によぎった。
ならばもし、「文法」を理解することを「音」としてやっていくならば、実は言語の習得は容易になるのではないのか・・・?
そこで、私はそれまで片言しか話せなかった中国語を、「音」から理解する方式でもう一度やり直してみよう、と思った。
それまで私は台湾にいたころサバイバルで少し覚えた中国語で日常生活程度はできるくらいだったが、込み入った内容のやり取りはまったくできなかったのだ。
文法は、NHKのラジオ講座で一通りやった。
そのうえで、台湾の師範大学で使用されている教材を使用した。
これは、単語や文法の解説も中国語である。
現代日本の参考書評論家たちからは酷評されそうだけれども、理想的な教材だった!
文法を理解した後であれば、日本語の解説が邪魔な場合は多々あるのである。
教材にある中文音声教材を現代のSONYウォークマンに入れて、毎日のウォーキングの際、歩きながら「シャドウイング(音声をなぞって発音していく言語学習の手法)」する訓練を半年ほど行った。
結果的には、この訓練の後で台湾の中国語のTOIECにあたるTOCFL試験で、台湾の大学入学に必要とされる高階級資格を取得出来た。
今では台湾の家族や知人とのやり取りはメールも含めすべて台湾中国語である。
こうした経験から、私が高校生に受験指導する方法も大きく変化した。
私の提案している学習法は、変わっているかもしれないが、おそらく最短で大学受験だけでなく英語そのものを習得することが可能なやり方である。
閑話休題:中華系民族の言語能力の秘密
中国人、台湾人など中華系の人々というのは、世界で最も言語習得能力が高い人たちである。
これはなぜかというと、そもそも中華系言語というものが日本語にはない抑揚も含めた複雑な「音」で成り立っているからである。彼らは生まれながらにして複雑な音への対応を余儀なくされている。
また、中華系の人々は、彼らにとっての「国語」である「北京語」以外に、地域の言語を同時にバイリンガルとして習得していく。たとえば、学校では「北京語(普通語、台湾華語)」だが、家族や近所との付き合いでは上海語や福建語や閩喃語といったように、音的な「別言語」を身に着けている。
これは実はとんでもないことなのだ。
一般的な「中国語」とされる北京語は、抑揚が4種類あって「四声」と呼ばれ、日本人が学習する上ではこの判別はかなり難しく、障壁となっている。
だが、広東語、上海語など地方の中華系言語ではこれが「八声」となる!!!
台湾語は、福建語のさらにローカル方言で、やはり「八声」だが一声が消えてしまったので七声である。
日本人では、少し学んだところで耳の機能として判別できないが、私の娘のようなマルチリンガルだと完璧に聞き分けるのである。
彼らからすると、「音」として考える場合、日本語は容易いし、英語でも欧州言語でもむしろ楽なのである。
この「音」に対する生育環境があるから、彼らは海外進出するにも海外言語の習得は非常に速い。
一方で日本語にはこうした複雑な音がないし、また欧州言語と比べても日本語は音が単純である。
奇妙な話なのだが、中国語に慣れてきたら、急に英語が聞き取れるようになった。
英語は、音の構成は中華言語と比較にならないほど楽な言語だ。
しかし、一般的日本人は、そもそも耳の機能が発達していないので、英語もなかなか習熟できないのかもしれない、などと思う。
それに加えて、日本人は長らく英語を「英文」として視覚でとらえる癖がある。
日本人が外国語習得に不得手なのは、教育方法の問題もあるのだがこうした事情も複雑に加味されてのことである。
しかし、これを逆手にとれば、「音を聞き取る訓練」があれば、外国語は習得しやすい。
まずは日本人の弱点を認識するところから始めたい。
【野生馬式:大学受験の勉強のやり方講座 受験英語の基礎がまだない人向け教材!】
言語を習得するためには、言語の「約束」がわからなければ無意味である。
私は文法は重視する。
最初に、英語の「約束」である英文法が今一つできていない人向けの教材と学習方法を提案したい。
駿台文庫「新・基本英文700選」
| 「新・基本英文700選」。大昔からある古典的教材だ。批判も多くあるが、しかし・・・。 |
一般的な高校生は、中学高校を通じて、ダラダラと「いちおう」文法の勉強はしてきているはずなのだ。
しかし、最近の高校はますます文法を体系的に教えていないのは、先にも述べたとおりである。
こうした現状だと、高校で教えている英語は、はっきりいってつかみどころがなく、非常に問題が多い。
こうした現状の中で、基礎的な英語の言語能力を習得すると同時に、大学受験の基礎能力を身に着けるには、いったいどうすれば最短であろうか?
今回は夏休み前ということで、この問題を解決する方法の一つとして、すでに「古典的」となっているある教材をご紹介したい。
◎駿台文庫「新・基本英文700選」(鈴木長十・伊藤和夫 共著)
である!
まず、スキット(例文)を訳しながら、文法を復習!
| 新・基本英文700選は、シンプルな構造だ。文法ごとに例文を学習することは言語学習では効果的である。 |
この本は、「大昔」からある。笑
当然、私が高校生の時も存在していた。
だが昔と違うのは、現代では掲載されている英文も多少改良されている上に、音声CDが付属していることである!
(もしそうでなければ、私は教材としては使わなかっただろう・・・。)
英語の教材を考える時、野生馬式では音声教材付きを重視するのだが、それは先にも述べたように言語は「音」だからだ。文字があって言語ができたわけではないのである。
では、これをどのように使うのか?
以下に解説していく。
1、左側にある英文をまず見て、意味を考える。
2、次に、辞書を用いて徹底的に調べながら、日本語和訳をノートに書く。下に付けられている「comment」も参照。
3、右側のページにある訳文を見て、照合する。
4、自分の訳文の認識と異なる箇所があったら、自分の文法や語彙の認識のどこが違っているのかを明らかにする。そしてその英文には印をつけておく。
5、以上の作業が終わったら、音声教材を聴く。聴きながら、「シャドウイング」を行う。
6、音として覚えられるようならば覚えてしまえ!
この教材は、文法ごとで例文がまとめられている。
なので、文法の復習として最適である。
なにやら参考書の評論家諸子からは、「英語が古すぎる」「アメリカ英語とイギリス英語がごちゃごちゃ」「解説がなく、独習しづらい」など、さまざまな批判にさらされているようである。
しかし、一つ言わせてもらうと、文法や基本となる単語やイディオムなどは、古いも新しいもまるで関係がないということ。
ちなみに、下に「comment」というヒントが書かれており、いちおう文法を学習したことがある人は、ヒントを読めばそれぞれの例文がどういった文法、イディオムに基づいているのかを理解できるようになっている。
よほどでなければ、ヒントを読み、辞書を引けば理解はできるはず。(これでわからない場合は、そもそも中学レベルの英語ができていないことになる・・・。)
解説がない、などと批判する人に対しては、たとえ解説があったとしても、自分で調べて理解する意志がない人はどんなものを使用しても、どんな分野を学ぼうとしても、根本的な態度からしてダメである、と反論しておこう。
むしろ、現代の学参の類は、解説をつけすぎているとさえ思う。
だいたい、「新・基本英文700選」は訳文がついているのである!
訳文がないならばそう批判すればいいが、訳文から、英文構造を解析できないならば、それは日本語能力にむしろ問題があって、日本語をなんとかしなければならない。それについては、前回の記事を読んでほしい。
【野生馬式:大学受験の勉強のやり方講座(2)共通テスト必須科目】受験の基礎を考える!
学習に関する多くの問題は、実は現代では日本語能力の低下に起因することが非常に多いのである。
ところで、実はこの700個の英文に、文法解説を施した人もいて、もし文法的な知識が不足している人は、以下のブログ記事を読むことで独習が可能だ。以下にリンクを貼っておこう。(これは労作だと思う。)
改めてはっきり言っておく。
私が提案する言語学習法、受験勉強法からすれば、そもそもこの本への様々な批判は、どれもまったくの的外れであると思う。
その多くは、「詳細な解説がない」ことを批判するものだが、私に言わせれば最近の受験参考書は、正直言って解説がむしろ多すぎる。
そのせいで若い人の頭がどんどん悪くなっているのではないか?などと私は危惧さえしている。
解説が詳しければ詳しいほど理解できるか?といえばそれはまったく違うのである。
いい教材というのは、最低の解説と、自分で調べる要素をもったものである。
調べなければ、本当の理解というものは進まないのである。
和訳を書いてみる!
大学受験の基礎力をつける目的のためには、「2、」で示した「和訳を書いてみる」作業は必須である。
なぜならば、国公立大学の英語二次試験は、必ず英文の部分和訳は出題され、しかも配点が高い。
「新・基本英文700選」に対する批判者たちは、「和訳などしなくていい!」ということを言いたがる人が目立つ。
だが彼らが言うほど、日本の大学入試は先進的ではない。むしろ旧態依然だ。だからこういう教材が十分に役立つ。
実際、国公立大学入試では和訳できねば十分な得点はできない。
すなわち、英語の試験なのに日本語能力が問われている!これは厳然たる事実である!
この「和訳」というのは、英語ではなく日本語の作文能力が要求されるのである。
こういう現実に対応するためには、まずはこうした訓練は絶対に必要となる。
また、それに際しては、最初は英文だけを見てわからない単語やイディオムがあっても推測する練習が大事だ。(1,の作業である。)
けっこう単語の意味が分からなくても推測できるものである。
受験に際しては、辞書を持って会場には入れないし、使用することもできないのがルールなのである。
推測する力がないのであれば、国公立大学の受験はうまくいくはずがないのである。
調べる!覚える!手を使え!
その上で、今度は単語、イディオム等を辞書で徹底的に調べる。
「comment」も参考にすればいいが、手抜きしないで、辞書を手でめくって調べたほうがいい。
そうした動作が、記憶には最も効果的なのだ。
辞書には、一回確認した単語、イディオムには印をつけておくとよい。
(これは、また後に意味を持ってくる。)
巷では「単語集」のようなものが売られている。
昔も今も、そうした単語集を覚えるのに熱心な高校生は多い。だが、なんと非効率的であろう・・・。
私はそういうものを使ったことは一度もない。私は、基本的に調べた単語に辞書で印をつけていき、たまに見直すようにしていたからだ。
辞書は英語では基本にして最高の参考書である。文法的な解説も、実を言えばすべて辞書に書いてあるのだ。
単語集などとは学習効果がまるで異なるのが自分で辞書を引き、調べる作業なのだ。(批判をする人もいると思うが、私はこの点は絶対的な確信をもっている。)
「1、」にあるような訓練を普段からしていけば、推測することができるようになっていく。
何度も言うが実は、辞書の持ち込みができないのが大学入試である以上、本番でもわからない単語が出てくるのはあたりまえなのだ。
だが、ここでは「推測」で意味を把握できるか?ということが実は求められている。
私が教え子に重視しているのは、この「推測する」能力であり、そういう意味では英単語は例文や長文の中で出てきたものを推測する練習をしながら、辞書を引いて覚えていくのがもっとも有効な方法だ。
「絶対的に覚えねばならない基本の単語」というのはあって、それは古いも新しいも全く関係ない(ホントだよ・・・)。
この古典的教材は例文が700個ある。
一文の中に、基本となる単語やイディオムが2つから3つくらいある。
仮に3つあるとして、3×700=2100である。
下手な単語教材を利用するよりもはるかに効率が良い上に、これは英文法の体系を一通り学べるようになっている。
わからない単語は、チェックするだけでなく、紙に書いてスペルを覚えよう。
要らなくなったコピー用紙の裏とかで十分である。
手を動かすこと!
発音しながら何度もスペルを書くこと!
基本中の基本の語彙ばかりであるから、覚えてしまえばいい!
もし、この作業を真面目にやった場合、単語の教材や英文法の問題集等は不要である。
受験で問われる基礎となる単語、イディオム、英文法の大半がすべて含まれているからだ。
この本は駿台予備校の伝説的講師であった鈴木長十さん、伊藤和夫さんの力作なのである。
昔の駿台では、この700の英文を全部暗記することを推奨していた。
これは、ある意味、語学習得の核心の一つである。
そう、言語には暗記が必須なのである。そこは取り違えない方がいい。
覚えることを面倒くさがっていては、どんな言語も習得はできません。
ただし、地方の高校が馬鹿の一つ覚えで「リーダーをすべて暗記する」、とか言っても身につかない。
理論が必要だ。
まずは「体系を持った例文」を相当数覚えていくことが最も効果的である。
そしてこの教材はその目的にも合致する。
和訳がうまくいかなかった英文は、その原因をしっかり分析するとよい。
今現在は、うまくいかない部分は出て来ていい。
むしろ、文法や基本的な単語、そして基本的な作文能力のできていないところを探すのが重要だ。
歯が立たない英文には、印をつけておくといい。
後でこれは大きな意味を持つ。二回目をやる時は、印のついたものを中心にやればいいからだ。
シャドウイング(非常に重要!!)
そして最後、音声教材とシャドウイングはしっかりやるべき。
テキストを見て音読するだけではダメなのだ。
耳で、音として聴きながらシャドウイングする。
あらためて、「シャドウイング」とはどういうことなのかを、wikipediaで調べると、次のように書かれている。
シャドーイング(Shadowing)、またはスピーチ・シャドーイング(Speech Shadowing)とは、(イヤホンなどで)音声を聞いた後、即座に復唱する実験技術である。 標準化されたテストでは、言葉の聞き取りと発音の間の反応時間は254ミリ秒[1]であったが、左優位の脳を持つ人々の場合、反応時間は150ミリ秒[2]であった。 これは、発声の音節の長さの遅れといえる。対象者はただ復唱するように指示されても、自動的に文法や意味を処理する[1] 。シャドーイングで復唱される言葉の方が、単に音読する場合より、より口調などの模倣が忠実に行われる[3]。
脳機能イメージングによれば、擬似語[4]のシャドーイングは、上側頭葉から始まり下頭頂小葉を経て下前頭葉(ブローカ野)に至る経路を通して発話の聴覚表象と運動表象を繋ぐ背側皮質視覚路を通して起こる事がわかっている。[5]
発話シャドーイングは1950年代後半にen:Ludmilla A. Chistovich率いるLeningrad Groupによって最初に研究手法として採用された[2][6] 。それは、音声言語知覚[1]や吃音症[7]の研究において使用された。
また、第二言語習得においてリスニングやスピーキング能力の改善のためにも応用される。同時通訳の訓練においてリテンション能力の向上のために、数秒遅れて繰り返す手法もシャドーイングと呼ばれるが、第二言語習得に用いるものと、効果が全く異なるので注意が必要である。
まとめるならば、「ただテキストを見て音読する」よりも、「シャドウイング」のほうがはるかに脳に対しては言語を植え付けるいい方法だということだ。
実は、これはカセットテープが主流だった時代には行うことが難しい学習法だった。
パソコンが普及し、音声を電子データで保存し、それを簡単に少し前に戻してリピートできるようになってから普及してきたのである。
いわばiPodのような再生機器の登場が、言語学習に革命的な方法論を生み出したのだ。
これは現代では小型の再生プレイヤーを用いれば、引っかかっている箇所を何度も戻ってやり直すこともできる。(Amazonなどで売っている、3000円くらいのもので十分。数秒前への反復機能がついているのであればなんでもいい)
ちなみに、私は中国語でこの学習をやったのだが、机に座ってやるよりも、毎日のウォーキングの際に歩きながらやったほうがはるかに効果的だった。
たとえば通学の際、一駅手前で降りて、歩きながら小声でつぶやきつつやる、などが効果的だと思われる。
とにかく、音として頭に焼き付けるのである。
この作業は、基本となる英文の記憶にも役立つし、また英作文の基本を習得する意味でも役立つうえ、さらにはヒアリングの訓練にも大いに役立つ。
これぞ一石三鳥である!
この教材はいつまでに?
ところで、私がこの時期(7月中旬)にこの記事をアップするのは、ちょうど夏休み前だからである。
こういう基礎学習は、本来、理想としては高2までの段階でやってしまっていれば一番いいのだが、高校生はやることもいろいろあり、なかなか地方の非進学校や自称進学校では無理だろう。
だが、夏休みがある。
約40日、使える時間があるのだ。
たとえば、700ある例文を、30日間で終わらすのであれば、700÷30=23.3、一日あたり25の英文に取り組む必要がある。
40日で終えるならば、700÷40=17.5である。
だいたい、1日20文でどうか。
英文はそれほど長くない。
中には辞書を調べなくてもできるものもそれなりにあるはずだし、単語だけわからない例文もけっこうあるだろう。
だから、1日20文は無理な数ではない。
集中してやれば、夏休み中に一回目を終えることは難しいことではない!
ちなみに現段階では完全に暗記ができなくても構わない。
が、シャドウイングで音声を追いかけることができて、意味が理解できるようになるのを当初は目的としよう。
この教材を使う人は、今後、音声教材を中心に復習をしていただく。だからそのうち、覚えるようになっていく。
だが最初のこの作業が一番手間取る。
でもNHKのラジオの語学基礎講座で未知の言語を学習する場合、期間は半年で例文は初歩的なものを入れると1300くらいある。
言語習得には、それなりの例文(スキット)が必要だ。
文法をすでになんらかの教材で一通りやっている人は、それでもいいだろうが、文法知識がまったく欠落している高校生、また文法があいまいな高校生はこの学習法は基礎を身に着けるのに非常に有効である。
【野生馬式:大学受験の勉強のやり方講座 受験英語の英文法がある程度わかっている人向け教材!】
英文法についてはある程度体系的に知っていて、それに関する教材の学習は自主的にある程度進めている人もいるかと思う。
そういう人には、また少し提案する学習法は違ったものになってくる。
英文法が一通りわかっている人は「共通テスト過去問」あるいは・・・
文法を一通りすでになんらかの教材を決めてやっている高校生もいるであろう。
最近は高校でも文法やイディオムの副教材を与えているから、それで文法は一通りやろうとしているか、すでにやっている人は、「新・基本英文700選」は必ずしもやる必要はない。
だが、その場合は、夏休みのうちにやっておきたいことがある。
それは、共通テストの過去問、あるいはそれに準ずるもの10年分である。
共通テスト(センター試験)は、「高校の履修内容の理解度確認」のためのものである。
全ての範囲から、基本となる単語やイディオムなどを出題してきている。
なので、共通テスト(センター試験)の過去問は過去問は、基礎を習得するために非常にいい教材となるし、だいたい高校の図書室に赤本か青本が置かれている。
これを10年分やると、一通りの範囲はカバーすることができる。
特に、長文問題は重要だ。
この学習法に取り組むにあたっては、次のようにやるのをおすすめする。
1、最初、共通テストの制限時間内で実際に受験するようになにも見ないで問題を解いてみる。わからない単語が出てきても、まずは推測する!
2、それが終わったら、わからなかったところ、できなかったところを辞書で調べる。徹底的に調べるとよい。
3、長文問題については、和訳を作製してみる。
4、その上で、解答解説を見て、自分の認識と違っているところを確認する。場合によってはそうした箇所だけノートにメモしておく。
5、最後、出てきた英文はすべて音読する。
だが、欲を言えば、こうした問題も音声テキストでシャドウイングまでやりたいところだ。
それについては、このような教材もある。
◎「全レベル問題集 英語長文②共通テストレベル(旺文社)」
これは、旺文社が出しているレベル別の問題集である。
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| このシリーズは、音声CDがついているのがいい。シャドウイングの手法を適用できるから効果的なのだ!旺文社のwebサイトにリンクを貼っておくので、各自確認してほしい。 |
長文問題にすべて音声教材が付いており、しかもだいたい共通テスト10年分に相当する。
| 実際の試験と同じく解答する時間がすべてついている。最初は試験同様、なにも見ないでどこまでやれるかやってみるべきだ。それは推測能力や問題解決能力を培う。 |
| 解答解説はかなり詳しい。しかし、解答を見る前に、調べられるだけ調べる作業が重要。それをやらねば頭には入らないものである。これは、すべての学習に言える。解説を見てわかったと錯覚するのが一番よくないのだ! |
学習方法は、上記と変わらない。(全ての問題に制限時間が付けられている。)
ただし、決定的に違うのは、CDが付いているので、最後、
5、最後、音声教材を聞きながらシャドウイングできるまで音読練習を行う。
ここだけ異なる。
これがあるのとないのでは、言語としての英語習得は天と地ほどの違いが出る!
繰り返し言う。
言語はもともと「音」である。
文法という「約束」がある「音」である。
バイリンガルではない以上、約束を知らなければ外国語は習得できないし応用はできない。
ただし、それは「音」であることを忘れるべきではない。
上記の学習法は、英語文法がだいたいわかった人向けの夏休みの必須課題である。
【野生馬式:大学受験の勉強のやり方講座 受験英語の基礎学習法】は、理論的であることを重視!
ここで取り上げたのは、あくまで一つの学習法だ。
もっといい方法もあるかもしれない。
しかし、どのようなやり方をとるにせよ、言語学習は理論的にやりたいものである。
自分のレベルをどう判断する?
学習法というのは、個々人によって異なる。
各自が自分に一番合った学習法を考えていけばいいのだが、ここに紹介しているのは、主に国公立大学を受験しようと考えているが、これまで特別に受験対策というようなものをやってきていない人向けである。
英文法の基礎がどの程度自分はわかっているかわからない、という人は手っ取り早いのは「新・基本英文700選」から始めてみることだ。
具体的には、これまで受けた模試の英語偏差値が50以下、40台あるいはそれ以下の人が対象となる。
だが、これを使った学習法はシンプルだが非常に効果的であるし、効率的である。
英文法については、高校の副教材ですでに準備を進めている、というくらいの進度の人は、共通テスト過去問あるいは「全レベル問題集 英語長文②共通テストレベル(旺文社)」をこの夏、真剣にやってみたらいかがであろう。
偏差値で言えば、50前後の人がこれに該当すると思う。
現在、高校では共通テスト用の教材も業者のものを教材に取り入れている。
またここまで何回か模試を受けている人もいるはずだ。
高校最後の夏休みは、人によっては大手予備校の夏季講習などに行こうと考えている人もいるかもしれない。
しかしである。
大手予備校の講習は、行けば時間もかかるしお金もかかるわりに、あれこれ入試問題を集めて他人が解答の解説をしてくれる、という程度のものである。
もし、英文法も一通り確認していない人が夏季講習に行ったとしても、効果は薄い。
それならば、今回紹介したような基礎固めを自習でまず徹底した方がはるかに効果的である。
模試や共通テスト対策教材も夏休みを利用して徹底的な復習をすべきである。
予備校の夏季講習を否定はしない。
だが次から次へと新しい教材を渡され、次から次へと解答解説がされるが、意外と田舎で自分で決めた教材を独学して一冊徹底的に使い込んだ人の方がはるかに成績は良いことが多い。
なぜかというと、講習に出る人の多くが復習をしないでまた次から次へと新しい模試や教材に手を出すからだ。中途半端に乱読、というのがもっとも効果が薄い学習法である。
逆に言えば、復習をしっかりやるならば、夏季講習も役に立つということだ。
原則として、大学受験ではむしろ教材は多くを手を出さず、決めたものを3度やることを目指すべきだ。
そのほうが効果は絶大である。
復習できる範囲でやるのでなければ、受験対策の学習は効果は得られないのである。
ウソではない。
事実を言っておくが、受験産業の講習などに行かなくても、田舎の受験生でも難しい大学に合格する人は多い。
それは進学塾や予備校などの次から次から出てくるメニューに手を出す以前に、一冊二冊の教材を徹底的にマスターするからである。
手段と目的を取り違えてはいけない。
なお、英語が「ものすごく」苦手、という人は、日本語の能力が低い可能性もある。
前回紹介した、新聞を読むこと、日記を書くことを合わせてやることを推奨したい。
日本語能力が低い場合は、別の言語は習得できないからである。
「言語」学習は、理論的にやらなければ身につかない!
この連載では、まずは最初の基礎の習得法を書いている。
実は数学や社会や理科、情報といった科目は、比較的成果がすぐに出やすい。
しかし、言語、すなわち英語、国語、古文は、方法論が異なる。
言語学習はやり方が間違っていると、何年ダラダラ勉強しても、有名講師の夏季講習などに参加しても全く成果は出ないのである。
そういう意味では、何年も英語の授業を受けていてもモノにならない日本の英語教育は、根本が間違っているのかもしれないのである。
シャドウイングのところで書いたように、現代は技術の進歩で私が高校生だったころ、大学生だったころよりもはるかに外国語の習得がしやすくなっている。
私がここで紹介している方法論は、最新の言語学習方法に基づいている。
受験はもちろんのこと、英語という言語そのものの学習としても有効な方法である。
実際に、40歳以降で私自身が中国語で試している。
やってみる価値はあることを、自信をもっておすすめしている。
付記
お断りしておきたいが、このブログで私はかなり高校に対する辛辣な意見を述べている。
しかし、私が批判しているような高校の先生ばかりでないことはよくわかっているつもりである。
中には、非常にいい指導をされている方も当然おられる。
しかし、私自身が経験し、見聞きしている範囲ではやはり現状はひどいものだと思うのは、個人の感想である。
日本には言論の自由があるはずだ。個人の感想として言わせていただいた。
あるいは私の認識が間違っている点もあるだろう。
反論等は大いに歓迎する。
私が間違っている点は、認める用意があることをここでお断りしておきたい。


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